
比留川游さんが語る
除いたことで、生まれる余白
vol.04 後編
比留川游 / モデル
捨てることで、価値観を見つめ直す
モデル / 比留川游さん

あふれていると見えなくなる、本当に必要なもの
モデルという職業柄、どうしても増えていく洋服。クローゼットを開けばたくさんのアイテムがあるはずなのに、以前は合わせるものがないなと思うことも少なくなかったと、比留川游さん。
「“この服が着たいのに組み合わせるものがないから、また新しく買う”となることもしばしば。それに、長く着ることを意識せずに買い物をしていたと思います。もしかしたら使うかも?と思うと捨てられなかったり、1度も袖を通さないまま眠っている洋服も。コロナ禍になり家で過ごす時間が増えたとき、この時間をうまく活用するには何をすればよいだろう?と考えて、思い浮かんだのが持っている洋服の量を見直すことだったんです」
洋服を整理することで、自分の中でもあいまいになっていた価値観を見極めたいと思ったそうです。


捨てることで得られた「心の余裕」と「価値観の確立」
服の量を見直すにあたり、まずは、今までどれくらい着ていたかを軸に比留川游さんは考えたそうです。
「登場回数が少ないものは思い切って捨て、これから迎え入れる予定のアイテムとの組み合わせが想像しにくいものも手放しました。結局、段ボールの数は15箱分にもなり、クローゼットにあった2/3の量を処分することに。進めるほどに気持ちもすっきりしていき、余白ができた部屋の中にいたら、心にもゆとりができたことを感じました」
もの選びの価値観も明確になったそうです。
「洋服があふれていたときは、自分が何を持っているか把握できていなかったため、似たようなものを買ったり、着たい服を見つけ出すことができていませんでしたが、大好きだと思う洋服だけ残した結果、長く着たい服がどんなものか分かって、新たに服を買う時も“なんとなく”で選ぶことがなくなりました」

長く愛せる洋服こそ、本当に欲しかったもの
自分にとって必要な服の量が分かったことによって、洋服選びの基準を変えた比留川游さん。手元に残った一軍の洋服の共通点から、本当の自分は、心地よい素材のアイテムに心を寄せていることが見えてきました。
「1着1着にかけるお金は高くなっても、長く着ることができる、上質な素材のものがいいなと思ったんです。シルクが入ったなめらかな着心地のものや、冬なら温かいカシミヤ素材のものに惹かれます。インナーにこだわるようになったのも洋服を整理した後の変化。肌に直接触れるものだから、心地よいものを身につけたいんですよね」
洋服の量は減っても、「これはずっと好き」と思えるアイテムは躊躇することなく迎え入れるそうです。
「もともと大好きだったジャケットは手元に残りました。飽きることがない、必要な洋服と判断すれば、迷わず買っています」

適量を知ることで始まった、丁寧な暮らし
もの選びの価値観が変わったことで、暮らし全般にまでよい影響を与えることになったそうです。
「洋服ブラシのセットを買ってメンテナンスするなど、手入れすることも含めて装うことが楽しくなりました。洋服以外の持ち物についてもそう。自分にとっての適量がわかるようになり、ゆとりをもった生活ができていることがうれしいです」
無駄を削ぎ落とすことで、心地よく生きる比留川游さんに、ナリス化粧品の美容理念「除いて、与える」ということについて、率直に思うことも尋ねてみました。

「心や生活に余白を作ることと重なるのではないでしょうか。飽和していると新しいものを吸収できなくなるから、本当に求めているものを手に入れるために大切なこと。スペースを残すことで、自分にとって必要なものは何なのか、自然と分かるようになると思います」と、比留川游さんはおっしゃっていました。