比留川游さんが語る
除いたことで、生まれる余白
vol.04 前編
比留川游 / モデル
体の声に耳を澄ませて、食と向き合う
モデル / 比留川游さん
体の声に従ったら、自然と1日1食の生活に
比留川游さんが食生活を変えようと意識し始めたのは今から6年ほど前のこと。尊敬するある映画監督と雑談している中で1日1食のスタイルを勧められ、興味を持ったのだそう。
「その方は、1日3食は食べすぎだと感じていたそうで、自分で適量だと思う1日1食に変えたところ、体も楽になり頭も冴えるようになったと話していました。それを聞いて、体によい変化が起こるなら試しにやってみようかな、というライトな気持ちではじめました」
「当初は毎日ではなくて、誰かと食事をする予定がない日は1食にするなど、ゆるいペースで行っていました。完全に1日1食のリズムになったのはコロナ禍になってから。外食の機会が減ったので自然に移行することができたんです。無理をして食事の回数を減らしたのではなくて、お腹が空いたから食べるという、体が発するサインに合わせてあげることで、コンディションが整っていくことを改めて実感しました」
1日3食摂るのが当たり前だと思っていた頃は、食後に眠くなり、だるさを感じることもあったそうですが、今はそれがなくなり、仕事中に集中力が切れなくなったのも収穫です。目覚めから体が軽く、以前より活動的になれるのだとも比留川游さんは話してくれました。
選ぶこと、作ること、食べることを丁寧に
1日に1度の食事だからこそ、その日に何を食べるか、しっかり考えるようになったという比留川游さん。
「もともと食べることは大好きですが、なんとなく食べる。ということをやめてから、より一層食事の時間を大切にするようになりました。お酒も楽しみたいので、食べるタイミングは夜。料理本を見ながら今日何を食べるか考えるところからワクワクできます。食べたいと感じるものって、そのとき体に必要な栄養素を含むものだと聞いたことがあるので、“この野菜が食べたい”と思ったらそれを中心にメニューを考えたりもします。自炊が基本で、たっぷりの野菜と、タンパク質を多く含む肉や魚が中心の食生活を心がけています」
作るところから食にきちんと向き合いたい。そんな意識から、料理に使う道具にも目を向けるようになりました。食事の時間をさらに盛り上げる工夫もしています。
「料理を盛る器にこだわったり、包丁や箸なども、使いやすくて質のよいものを選ぶようにしています。空間作りも大切。好きな映画や海外ドラマを観ながら時間をかけてゆっくり食事をすると、リラックスできてとても心地がいいんです」
「なんとなく食べる」をやめて、やりたいことをする
お腹がいっぱいになると心身の動きがにぶくなるので、食事は腹8分目で終わらせることを心がけている比留川游さん。食べたあとは、モデルとして大切なボディメンテナンスの時間が待っています。
「遅くても夜9時までには夕食をすませて、その後トレーニングをするのが日課なのですが、3食取っていたときは、今ほど体を鍛える時間を作れていませんでした。このようなルーティンが出来上がったのは、時間に余裕ができたからなんですよね。習慣なのだから朝も昼も食べるという、意味を考えずに行っていた時間を除いた分、もっと違うことに思いを巡らせたり、自分の時間を作れるようになりました。アイディアを練ったり、解決策を探すときも、以前より落ち着いて、深く考えられるようになった気がします」
豊かな食生活は、実りの多い時間にもつながっていくのだと感じているそうです。
食べる時間を見直すことで、暮らしの質を変えていく
食べることは生活の基本だとは分かっていても、見直すきっかけが掴めないときはどうすればよいか、比留川游さんの考えを伺ってみました。
「食事は、モチベーションを上げるために大事なもの。健康な体の基盤を作り、やる気の源になってくれるものです。私の場合、1日1食にしたことで自分の体の声をちゃんと聴いてあげられるようになったと思います」
「今はこうして自分のペースを掴めるようになりましたが、過去には忙しすぎて食事がとれないということもあったし、毎日違う時間に食べていた時期もありました。そんなときはやっぱり調子が出ないものですよね…。なので、食事の時間をコントロールできていないかも?と思ったときが、生活のリズムを変えるタイミングが来たと考えてみるのはどうでしょうか。これを指針に生活リズムを整えれば、気持ちも上向きになり、時間も上手に使えるようになると思います」