2022.12.13

Harmony of mind and body

ヘアアーティスト / MIHO EMORIさん

People

心と身体を調和させて
自分を整えていく

My inner beauty tips
vol.03 ヘアアーティスト / MIHO EMORIさん

MIHO EMORI / ヘアアーティスト

長野県長野市出身。都内のヘアサロン勤務後、GO UTSUGI氏に師事。その後、イギリスに渡り、アシスタント期間を経てイギリスでフリーランスとして活動。帰国後はKiKi inc.kiki,に所属。『FIGARO japon』『SPUR』『ELLE japon』『GINZA』などの女性誌や、「sacai」「UNIQLO」「DANSKIN」などファッションブランドの広告などを手掛ける。
MIHO EMORIさんのInstagramはこちら

キレイを表現するクリエイターさんの仕事観を紐解く全3回の本連載、
ファッション誌やアパレルブランドの広告などを中心に活動しています。
そんなMIHO EMORIさんが大切にしている仕事観が「調和とバランス」。
だからからこそ、バランスをとりつつも個性を出すことを意識することが大切だと語ります。
今回、MIHO EMORIさんは撮影のディレクションと
「調和とバランス」を表現したMIHO EMORIさんの作品とともに、


My inner beauty tips
vol.01 メイクアップアーティスト / ANNAさん
vol.02 スタイリスト / 讃井理絵子さん

憧れの雑誌の世界観…それを作る側にいきたい

MIHO EMORIさんがヘアアーティストになったきっかけ、それはファッション雑誌の世界観への憧れが大きく関係しています。
「10代の頃、たまに遊びに行く従兄弟のお姉ちゃんの部屋が私にとっては宝箱を開けたような空間だったんです。ファッション雑誌の切り抜きが壁に貼られていたり、当時ブームだったBETTY'S BLUEやSUPER LOVERSの洋服やルーズソックスが無造作に置かれていたり。田んぼと畑しかないような田舎暮らしをしていた私からすると、キラキラと輝く場所でしたね」

そして、そこにあったのが『CUTE』などのファッション誌。華やかなファッションに身をつつむおしゃれな写真をたくさん目にしたMIHO EMORIさんは、洗練された雑誌の世界観に感化され、漠然と雑誌の世界観を作る仕事をしたいと考えるようになりました。

憧れの雑誌の世界観、今それを振り返ってみると、特に興味をひかれていたのは、雑誌を華やかに彩る「写真」の数々。
「ファッションを魅力的に見せるためのストーリーがあり、登場人物や設定された空間があり、写真はその中の一瞬を切り取りとったもの。静止画なのに動きが見えたり、ストーリーを感じたり…1枚の静止した写真に大切な要素を詰め込んでいく表現方法に当時から興味を抱いていたのかもしれません」

微差から生まれる大きな変化が面白い

雑誌の世界観を作り上げるクリエイターさんは多種多様。その中でも、なぜヘアアーティストだったのか。それは人生の「流れ」に沿って選択されたものでした。
「もともとは洋服が好きだったのでスタイリストの道に進もうかと思っていたのですが、母親に“手に職“という意味で美容師をすすめられ、まずは美容師の道へ進みました」

しかし技術は身についたものの、ヘアサロンに勤務しているだけでは、雑誌の世界観を作る仕事への道は厳しいと判断して退職。その後、第一線で活躍しているヘアメイクさんのアシスタントに応募するもののなかなか採用されない日々が続いたそうです。そんな中、たまたまご縁があって、後に師匠となるヘアアーティストさんに就けることに。そこからMIHO EMORIさんのヘアアーティストとしてのキャリアが始まります。

順調にキャリアを積み重ねてきた今。ご自身の職業について改めてどう思うか聞いてみると
「改めて好きだなと感じますね。昔から自分のヘアを作ることよりも、人のヘアを作るのが大好きで、それは昔も今も変わっていません。そして、その中でもヘアはちょっと分け目を変えたり、前髪の長さを1ミリ変えるだけで、人の印象を大きく変化させるジャンルです。微差から生まれる大きな変化を楽しむことができるのがクリエーションの面白さなのかもしれません」

撮影現場において「調和とバランス」を大切にしている理由

少しの違いで印象を大きく変えてしまうからこそ、MIHO EMORIさんが撮影現場において大切にしているのが「調和とバランス」です。

「私達の仕事は、それぞれが異なる感覚を持って集まって、ひとつのものを作り上げることです。もちろんキレイなマルを作らなければダメというわけではないですが、いびつなものを作るにしても、バランス感覚や周囲との調和が大事です。周囲と息を合わせながら、自分の色を出しつつ、バランスをとっていくことで新しいものができあがるのではないでしょうか」

またこの「調和とバランス」は自分の心と身体の関係においても大切にしたいこと。
「日々の仕事に忙殺されていると、心や身体の声を無視してしまいがちです。『あれ、これって心からやりたかったことなんだっけ…』『身体は休みたいけど、頑張らなきゃ』みたいな。私はコロナが起こって家にいる時間が増え、自分自身と向き合う時間が多くなったことをきっかけに、身体と心の調和を重要視するようになったんです。身体がどう思っているか。心がどう思っているか。それを素直に受け止めたうえで次に進むというプロセスを大切にするようになってから仕事にも余裕が出てきたと思います」

MIHO EMORIさんにとって「調和とバランス」は、心と身体を調律させていくことだったり、仕事現場でものを作るためのものだったり、円滑な人間関係だったり…と広義で大切なこと。感覚的にとても大事にしているキーワードです。

自分と向き合うには芯の強さも必要

「調和とバランス」というタイトルのMIHO EMORIさんの作品。イメージとなっているのは、ベルギー出身のアーティスト・ミヒャエル・ボレマンスの肖像画「オートマト(I)」。暗くて静かな空間の中で壁と向き合っている女性がいて、その後ろ姿にはひとつに束ねた髪の毛が真っ直ぐと下に垂れ下がっています。

「テーマに沿って『動』ではなく『静』を表現しつつ、静けさの中にも『流れ』を出したかったんです。そして印象的な1本の髪の毛の束で表したかったのは芯の強さ。心と身体を調和させるために、自分と向き合うことは結構なパワーがいることです。なのでシュッと筋の通った強さを見せたかったんです。実際の撮影現場で見てみると、髪の毛を真っ直ぐ下に垂らすのではなく横にズラしたり、身体も真っ直ぐではなく、少し横に捻ったりすることでバランスをとることができました」

写真の色をモノクロにしたのは、静かな世界の中で自分と見つめう調和のイメージを出したかったから。そしてもうひとつ、髪の毛は構築的なイメージがあるので、そこに色味のバランスを取り入れると複雑になりすぎるからという理由です。髪の毛で「調和とバランス」を表現することはかなり難しかったと語るMIHO EMORIさんですが、最終的に大好きな作品に仕上がったそうです。

寝癖を直さず、活かしてみる

最後に、MIHO EMORIさんがプライベートで実践され ている簡単ヘアアレンジ術を教えていただきました。

「朝起きて寝癖ができていたら『直さなきゃ…』と思うのが普通ですが、よくよく見てみると、それが実はかわいいことってないですか?」とMIHO EMORIさん。寝癖は直す、ヘアアイロンを使って髪の毛をセットする。そんな前提を失くして、できてしまった寝癖を活かすことで、いつもとは違ったヘアアレンジを楽しむことができるといいます。

「私自身はショートヘアなので、毛先の動きがいい感じに出ていたりすることが多いのですが、その寝癖の部分にバームを少しつけて整えるだけ。簡単ですし、逆にヘアアイロンなどで人工的に作るのが難しい動きだったりするんですよね」

朝起きて鏡を見たときに「今日の寝癖かわいいな」と思ったらぜひ試してみてください。

今回使用したアイテムはこちら

ヴィータ スタイリングフレーム リキッドアイライナー

緊張感のある表情にしたかったので、今回は目尻に微細なラインが描けるヴィータ スタイリングフレーム リキッドアイライナー ブラックを使用しました。筆先がしなやかなので太さの強弱がつけやすいです。

過去の記事はこちらからご覧いただけます。

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vol.01 メイクアップアーティスト / ANNAさん
vol.02 スタイリスト / 讃井理絵子さん

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