2022.12.06

Ideal ethical life

ヨガインストラクター / 栗山遥さん

People

食生活から変えていく
理想のエシカルライフ

栗山 遥さんが語る
除いたことで、生まれる余白
vol.10 前編

栗山遥 / ヨガインストラクター・クリエイティブディレクター

1996年生まれ。学生時代にモデルとして活動する中でヨガに出会い、その奥深さに魅了されて資格を取得。マインドフルネスなヨガなどを伝えるべく、インストラクターの道を歩み始める。体を内側から美しく整え、心身の健康を維持することへの意識も高く、スリランカに赴いてアーユルヴェーダについても学びを深めるなどの経験も積む。また、ライフワークであるサーフィンを通して、海洋プラスチックによる環境汚染を目の当たりにしたことをきっかけに、持続可能な世界にするために自らができることと向き合い始める。その一環として自身のブランド「seed and soil」をローンチ。地球と人間にやさしく、本来あるべき自然のサイクルを守りたいという願いを込めたプロダクトを届けている。現在は海の近くに住み、サスティナブルでナチュラルな暮らしをSNSで発信。ヘルシーで、自然体の美しさが同世代の女性をはじめとした多く人々の共感を呼び、影響を与えている。
栗山遥さんのInstagramはこちら

食生活から変えていく
理想のエシカルライフ
ヨガインストラクター・クリエイティブディレクター / 栗山遥さん

海に山。つねに自然とともにある、サスティナブルな生き方に憧れを抱く人も多いはず。
今回、「除いて、与える」をテーマに、
ヨガインストラクター・クリエイティブディレクターとして活躍する栗山遥さん。
コロナ禍による時代の変化も手伝って、
心身を調整するだけでなく、正しく生きることを大命題とするヨガと、
自然と一体化する、心地のよい時間を過ごす先で見出した新たな食生活は、

海に入って知った、今地球に起きていること

もともと食生活に強いこだわりを持っていたわけではなく、以前はごく普通にお肉も食べていたという栗山遥さん。しかしながら、ヨガに出会い、哲学も含めたその面白さのトリコに。常に体に良いことを考えているはずなのにどこか違和感があり、自分の心と選ぶ食べ物が、なんとなくマッチしていないのではないかという気持ちになることもあったそうです。

「今から3、4年前からサーフィンを始めたのですが、海に入るとプラスチックのゴミが浮いている光景が気になるようになったんです。台風のあとなどは、特にすごい量が流れついているのを自分の目で見たことが、環境問題を現実のものとして受け止めるきっかけになりました。それから自分に何ができるだろうかと学んでいくうち、お肉の大量消費が環境破壊に結びついていることを知ったんです」

ヨガやアーユルヴェーダにも通ずる“消化“力の向上

畜産業によって排出される温室効果ガスの量は、車や飛行機などの輸送方法よりも多いことや、家畜を飼育するため森林伐採をしていることに衝撃を受けたという栗山遥さん。

「地球にとって畜産は、負荷をかける一面があることを知りました。それならば個人でもできることとして、お肉を食べる量を減らしてもいいかなと思ったんです。そうしてお肉よりも、魚や豆などのタンパク質を中心に摂る食生活になり2年ほどが経ちますが、もともとそこまでお肉が好きというタイプではなかったので、自然な流れで食生活が変わっていきました」

食生活を変えたことによって体にも変化が生まれたのだとか。

「私はスリランカでアーユルヴェーダについて学んだことがあるのですが、ヨガやアーユルヴェーダなどの健康法において“消化”はとても重要視されています。環境問題のために何かしたいと思って食生活を変えましたが、魚や大豆、野菜を中心にした食事で、体が軽くなったのを実感しています。これまで消化に使っていたエネルギーが、体全体に巡っているような感覚で、とても元気になったんです。便秘とも無縁に過ごせていて、お腹の調子が悪くなることもまずありません」

意思をもって選ぶことが 食生活のレベルを底上げする

栗山遥さんにとって魚や大豆、野菜中心の食生活にするという選択は、体の調子がよくなっただけに留まらず、食べるということの大切さをより深く痛感するきっかけにもなりました。

「食事は自分の体を作るもの。だから食べ物の背景に何があるか知った上で食品を選ぶということは、食べることの意味にしっかりと向き合うことになるので、食生活の質をあげてくれると思うんです。大切なのは、自分にとって何が良いことなのか、知ろうとすることなのではないでしょうか」

消費するものがどこからきて、今こうして目の前にあるのか知ること。そういった意識は、エシカルな暮らしの第一歩になります。

「野菜の消費量が増えたので、どこで野菜を買うのかにこだわったり、なるべく季節の野菜を摂るようにしようなどと気にするようになったんです。家の近くには無農薬野菜の直売所があるのでよく利用しますし、野菜の他お米などもちゃんと選んで買うようになり、良い意味で自分の食生活に責任を持てているような気がするんです」

自分のペースで少しずつ。そして、継続していくこと

自分の食生活を見つめ直したとき、何かを変えようと思っても全員がうまくシフトできるとは限りません。栗山遥さんは、無理してまで食生活を変えることは、かえって自分の体を大事にできていないと考えます。

「ゼロか100かで考えないことも自分の食生活を豊かなものにするコツなのではないでしょうか。“ミートフリーマンデー”と言って、週に1度月曜だけお肉を食べるのをやめようという運動があるんです。週にたった一回だけで、地球に貢献できるとは思えないという方もいるかもしれないけれど、そんなことはありません。このような一人ひとりの小さな一歩が、地球環境を変えていくのだと思います」

環境問題へ貢献する方法は、さまざまな選択肢がある。食生活のシフトに限らず、個々が無理なく始められることを見つけて、チャレンジしてみてはと栗山遥さんは話します。

そして、小さなアクションでも、継続していくということが大切だと語ります。

「続けていくことが自分にも地球にもやさしいエシカルライフなのではないでしょうか。継続という意味でいうと、ヨガも同じなんです」

栗山遥さんがヨガを指導する上で、生徒からよく“どうしたらこのポーズができるようになるか”や、“どうしたら体が柔らかくなるか”などと質問されることも多いそう。そんなとき、栗山遥さんはこう答えています。

「ヨガって続けないと何も変わらないんです。クラスを受けたその直後は、晴れやかな気分になり体もほぐれる感覚があるけれど、少し時間がたてばまた体は硬く戻ってしまうし、ずっと心地よい気分でいられるわけではありません。すべては積み重なり。少しずつ、無理せずに前を見て歩いて行く。ヨガも、環境問題への取り組みも、すべては継続なのだと思います」

自分にマッチしない食生活を「除く」ことで、地球にも自分にもやさしいヘルシーライフを「与え」られた。

自分のマインドと重なる食生活は、プラスのエネルギーを作り出し、命の輝きを強くするものだと教えてくれた栗山遥さん。後編では、栗山遥さんがヨガインストラクターと両立しながら手がける自身のブランド「seed and soil」についてや、栗山遥さんの生き方に影響を及ぼすことに手放したある思考についてお届けします。

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Staff

Photographer : Sayuri Murooka(SIGNO)

Writer:Ai Watanabe
Editor : Ayano Homma ,Amane Yasuda (Roaster)
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Assistant Director : Sara Fujioka (FLAP,inc.)