いつまでも若々しい人と
そうでない人の違いは?

自然界において、老いとは酸化することですが、人間も酸化を防ぐことはエイジングに寄与していると言えます。また、ホルモンバランスも重要になってきます。女性に関して言えば、更年期をいかにゆるくしていくか、これが若々しさと老け見えの分かれ道と言っても過言ではないのです。ではこの身体の酸化と更年期とはどのように向き合えばいいのか? またどうすればいつまでも若々しくいられるのか? 具体的な9つのTipsをご紹介していきます。全部実践できなくてもOK。自分が続けられそうだと思うことから取り入れてみてください。いつまでも若々しい人に共通する最大のポイントは「若々しくいたい」と思うポジティブな気持ちだったりするのですから。では早速見ていきましょう。

年齢を重ねてからのダイエットはあまりいいことはありません。というのも、無理な運動や食事制限によるダイエットは肌ツヤを奪いシワになる可能性が高いからです。20代の頃のダイエットで痩せるのとは異なり、しぼんで元気のない印象になるのが関の山。だから無理なダイエットはやめましょう。

油は太るし健康的にもよくない! と思われがちですが、エイジングに関して言えば、身体の酸化を防いでくれるのでむしろ適度に取ることをおすすめしたいですね。意識して欲しいのが良質な油をとること。オメガ7が豊富なナッツオイル、オメガ3が豊富なアマニオイル、オメガ9の代表格であるオリーブオイルなどをぜひ食事で取り入れて。

コレステロールは悪だという考えを持つ方が未だに多いですが、それは間違い。男性には心筋梗塞のリスクがありますが、女性にはほとんど害がないと言われています。また、コレステロールは女性ホルモンやビタミンDの材料になると言われているので、むしろ程よく摂取したほうがいいのです。そこで肉食のすすめにつながります。肉はコレステロールと同時にたんぱく質も摂取できるのでエイジングを考えるとバランスのいい食材と言えます。

エイジングにプラスであるコレステロール、それらとたんぱく質、カルシウムまでとれるのが牛乳です。骨を強くするカルシウムは、年齢を重ねていく際に積極的にとりたい栄養分。骨が弱いと腰痛を引き起こしたりと老け見えにつながる弊害になるからです。とはいえ、何事もそうですが、無理をする必要はありません。毎日コップ1杯を目安に飲んでみてください。「風呂上がりに1杯の牛乳」はとても理にかなっていますよ。ぜひ続けてみてください。

若々しい人こそ、良く眠る人が多いのですが、その秘密は日中太陽の光を浴びているか否か。日光にあたると幸せホルモンと言われるセロトニンが分泌し、気分が良くなり、笑顔が増えます。これだけでも若々しさにつながりますが、このセロトニン、1日の終わりにメラトニンに化け、眠りを深くする作用があるんです。良く眠るためにも日中はなるべく外に出て太陽にあたり幸せホルモンを分泌させましょう。
※日光に当たる際は日焼け止めを塗るなど、紫外線対策を行いましょう。

酸化を防ぐことがエイジングケアの一つであるとお話ししましたが、酸化を促す要因に活性酸素があります。活性酸素は様々な原因で発生しますが、激しい運動もその一つ。健康、体力維持のためにランニングやその他スポーツなどされている方、若々しくありたいと願うなら「ゆるい運動」へのシフトを検討してみてください。散歩、水中ウォーキング、太極拳、ヨガなど、息が上がらないものを。これらのゆるい運動は自律神経を整えることにも一役買うので更年期をゆるくすることにもつながります。

クリエイティビティ、感情、意欲などをつかさどる前頭葉を鍛えると人は若々しくいられます。そこでおすすめなのが恋愛をすることです。リアルに恋い焦がれるのでも、アイドルにキュンキュンする疑似恋愛でもOK。思った通りにいかない、想定外のことが起こることがポイントです。また、恋をすることは女性ホルモンにも影響を与えるのでエイジング対策の良きスパイスに。

年齢を重ねるにつれ、キャリアもプライベートも安定してきて何事にも「冒険」しなくなりますよね。これ、前頭葉が老け込む原因になるので気をつけて欲しいのです。いきなりゼロから起業するとか大きな冒険でなくていいんです。例えば読書が好きな人なら、いつも読んでいる好きな作家ではなく、新しい著者の本を読んでみる。使ったことのない食材で料理をしてみる。初めてのレストランで食事をしてみるなど、小さな冒険をしてみてください。新しいことに対応することで前頭葉は鍛えられていくので。いつまでも若々しい人は、小さな冒険を積み重ねて毎日楽しんでおられますよ。

酸化を物理的に防ぐことも若々しさをキープするには大切なことです。抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンE、DHA、ポリフェノールなどの栄養素を積極的に摂りましょう。食事でとるのもいいですが、サプリメントを活用するのも◎。

若々しい人がしている習慣はどれも日々の積み重ねの中にあるものですね。私も未来に備えてできることから「当たり前の習慣」にできるように取り組んでみます。

和田秀樹さん

精神科医、臨床心理士。老年精神医学の専門家として多くの臨床データを持つ。これらの知見と経験からエイジングに関する著書を多数執筆。和田秀樹こころと体のクリニックで直接診療も行う。