セロトニンのすごい効果って?

脳生理学者の有田秀穂先生は、「セロトニンが脳の中で分泌されると、脳の機能に影響して6つの効果が得られる」といいます。

「更年期やPMS期に元気がなくなるのは、エストロゲンという女性ホルモンが出なくなるから。エストロゲンは、セロトニン神経の合成に積極的に関与していますが、更年期になるとエストロゲンが出なくなるのです。周期的に身体にストレスがかかる女性は特に、セロトニンとうまく付き合っていくことが重要です」(有田先生・以下同じ)。

セロトニン神経に
スイッチを入れる3つのコツ

目の網膜に太陽の光が入ると、その信号が脳の中を伝って、セロトニン神経を活性化させます。朝日を浴びると頭はスッキリ目覚め、自律神経も活動的に。家を出ない日もカーテンを開けて、目に太陽光を入れましょう。ただし、日焼け止めは忘れずに!

グルーミングとは、人と人との触れ合い、スキンシップのことです。誰かとおしゃべりしたりマッサージをすると脳内のセロトニン分泌量が増加します。一人暮らしの方は、ペットやぬいぐるみを撫でるだけでも効果があります。

ウォーキングやジョギングのリズム運動、朝ごはんをしっかり噛んで食べる咀嚼のリズム運動、そして座禅やヨガといった呼吸のリズム運動をすると、セロトニンの分泌が活発に。歌うことやお経を読むことも一種の呼吸法ですが、今回は簡単にできる“基本の呼吸法”をご紹介します。

基本の〝ゆったり呼吸法〟

肩の力を抜いて自然に立つ。腹筋を7割くらいの力で絞って、鼻から息を吐く。

息を吸うときは、下腹の力を抜き、自然に息が入ってくるのに任せる。これを繰り返す。

「とにかく意識することは、“はじめにしっかり息を吐くこと”です。時間は20〜30分が理想ですが、5分程度でもOK。頑張りすぎると逆効果なので、疲れたらやめるのも大切なポイント。立つのがしんどければ、座った状態や寝転んでいても大丈夫です」

呼吸法の効果的な
タイミングって?

「セロトニンは、夜寝ているときは基本的に分泌されません。しかし、朝起きたときにしっかり分泌できると、1日中セロトニン値の高い状態で生活できます。そうすると頭がスッキリ目覚め、気分もポジティブになり、見た目も元気でハツラツとした状態で過ごせます。

美容面でいうと、夜に呼吸法を行うと良い睡眠がとれておすすめです。良い睡眠にはメラトニンというホルモンが必要ですが、セロトニンはこのメラトニンの材料になります。昼間に活動すると、老化を進ませる悪玉物質・活性酸素が出ます。この活性酸素を除去するのはビタミンCとビタミンEと言われていますが、それよりも大切なのが睡眠ホルモン・メラトニンなのです。メラトニンが分泌される睡眠をとると、眠っている間に活性酸素を取り除いてくれるのでグッドエイジングが叶い、肌が綺麗に、若々しい印象になります。1日を元気に過ごしたい方は朝に、ぐっすり眠ってキレイになりたい方は夜に呼吸法を行い、元気とキレイを叶えましょう」

セロトニン活性で脳が変化し始めるまで、3ヶ月はかかるそう。半年ほどすればかなり変わってくるらしいので、まずは継続を!

有田秀穂さん

脳生理学者、医師。専門領域は呼吸の脳神経学、セロトニン神経の機能と活性法、坐禅の科学。「セロトニン」が心身の元気とハピネスに関係する脳内物質であると提唱する。