
愛に生きた女性・瀬戸内寂聴さん

寂聴さん、人生の名言
「私たちの一生は、長生きしたってたかが100年です。たとえこの世に何が起こっても、ドンと腹をすえていてください。心に余裕ができれば人間として優しくなる。人間のいちばん大切なことは、優しくあること。優しいというのは、他人が持っている苦しみと悲しみ、怯えと憂いを察して、それを慰めてあげることです」
(『あなたの心に青空を』P.17より)
「勉強は食事と同じです。心もいろいろな栄養を取らないと栄養失調になります。人間が心の栄養失調になると、想像力が乏しくなります。想像力イコール愛ですから、人を愛することもできません。善悪正邪の判断がつきませんから、よいこと、正しいことのために闘うこともできません。さらに悲しいことには、自分が幸せか不幸なのかさえ、判断がつかなくなるのです」
(『あなたの心に青空を』P.92,93より)
「私自身の人生を振り返っても、『何か』や『誰か』をあてにしたときは、何にもなりませんでした。100歳まで生きてわかったのは、お金も権力も、血縁も友情も、あてにできるものは何もない、ということでした。ですから私たち人間には、信仰が必要になるのです」
(『あなたの心に青空を』P.128より)
「1人も愛さず、1度も恋をしたことのない生涯はつまらないと、私は思います。どんなに愛に傷つき、苦しみのたうちまわっても、真剣に人を愛したことは、やがて私たちが死にゆくときに、懐かしい思い出の1つとなるのですから」
(『あなたの心に青空を』P.122より)
「本来人間は孤独だという認識を持てば、大抵の困難には超えてゆける気がします。孤独だからこそ、人は他者の寂しさを思いやることができる。孤独だからこそ、自然の美しさが身にも心にもしみてくる」
(『あなたの心に青空を』P.187より)
「曹洞宗の開祖・道元禅師の言葉に、『生きている間は、好んで愛語(愛情のこもった優しい言葉)しなさい』という教えがあります。面と向かって優しい言葉をかけられたら、人は誰でもうれしくなり、顔が喜びに崩れ、心がキラキラしてきます。また、戦争のときに敵を降伏に導くのも、和睦させるのも、愛のこもった言葉が重要な役割を果たします。愛語を実践してみると、いつの間にか幸せがあなたを取り囲んでいます」
(『あなたの心に青空を』P.202,208より)
「他人の心ない言葉にこだわって、自分がイライラして人を恨むのをおよしなさい。いくら恨んでも、心ないことを言う人の心が急によくはなりません。そういうことが通じる人でしたら、初めからあなたのことを痛めるようなことは言いません。その人とは、もう付き合わなければいいのです」
(『寂聴 あおぞら説法Ⅲ』P.190より)
「何のために、この世に生まれたか。それは、何か知らない宇宙の大きな生命が、あなたが世の中の役に立つと思って生んでくれているんですよ。そこに存在するだけで、周りを明るくしたり、なごませたり、何かに役立ち、誰かを幸せにしているんです」
(『寂聴 あおぞら説法Ⅰ』P.81,88より)
「人が幸福になるためには人から愛されるのがいちばんの近道だと思います。しかし、愛されるのをじいっと待っていても人はなかなか愛してなんてくれません。自分が自分を愛さないと駄目なんです。鼻も低いし、目もちっちゃいしと思っても、これは天下にひとつしかないんです。これでよくがんばっているなと思って、自分を慰めなければいけないのね(笑)」
(『寂聴 あおぞら説法Ⅰ』P.92より)
「心は移ろいやすく、捉えがたく、自分のものでありながら、自分の思うように制御できません。私たちができることは、お釈迦さまの教えに耳を傾け、自分の心がどんなものなのかを知ることで、自分の心の奥にある無限の煩悩を少しでも制御することです。皆さんもお釈迦さまの真似をしてたまには座禅を組んだり、写経をしたりして心を整えてみてはいかがでしょうか」
(『あなたの心に青空を』P.237-238より)
【参考図書】
『あなたの心に青空を』
『寂聴 あおぞら説法Ⅰ』
『寂聴 あおぞら説法Ⅲ』(すべて光文社)
読むだけで心がハッとさせられるような寂聴さんのお言葉に癒されます。名言集もいろいろ出版されているので、気になる方はぜひ見てみてくださいね。