香りは暮らしを豊かにする

五感は人の感情と深く関わりがありますが、中でも嗅覚は唯一本能に直結する感覚ということもあり、感情の75%を香りが引き出していると言われています。それぐらい重要な香りですが、暮らしへの取り入れ方がもったいない! とアロマセラピストの太田さん。
「まず、大前提として香りを嗅いで〝良い香り〜〟と感じることで人はリラックスし、幸せホルモンが分泌され、身体の巡りもよくなります。すなわち美しくなるために香りは必要不可欠。ですから身体を休め、長い時間過ごすおうちでは是非香りを取り入れてほしいのです。リビングなど家族の集まる空間や玄関に香りを置く方が多いと思うのですが、盲点なのが寝室、すなわち睡眠時。人は人生の3分の1は寝ているわけです。この寝ている間も無意識ではありますが、呼吸をし、香りを嗅いでいるので、是非寝る前にご自身が心地いいと思う香りを嗅いでほしいのです。ディフューザーを置いたりアロマを焚いてもいいですし、香りのいいクリームでお手入れするのも◎です。」
ダメな香りってあるんでしょうか?
「妊娠中は避けた方がいいアロマなどありますが、この香りを嗅ぐときれいじゃなくなる! という香りはありません。また、食事と同じように味に好みがあるように香りにも好みがありますよね。大切なのは〝この香り好き♡〟と思えるかどうか。つまり自分が心地いいと感じられるかどうかが大切です。ご家族がいるとなかなか自分の好きな香りで空間を作るのが難しいかもしれませんが、わざわざアロマを焚かなくとも、コーヒーの香りや食材の香りなどでもいいんです。香りに意識を向け、1日の中で〝いい香り〟と感じられる時間を作ってみてください。香りとのタッチポイントが増えていくと暮らしは豊かになりますし、美しさに近づけると思います。」

薔薇の香りは唯一無二

薔薇の香りは唯一無二で万能だとか。
「薔薇には多くの人が魅了される特別なオーラがありますよね。薔薇が放つ香りも同様で特別。あらゆる生活環境のランクアップが期待できる万能な香りと言われています。香りとして楽しむのはもちろんなのですが、薔薇を飾るという心構えがすでにきれいを引き寄せているように思うのです。散らかった部屋に薔薇を飾ろうとは思わないですし、薔薇の似合う女性になろうと立ち居ふるまいも無意識のうちにエレガントになっているもの。薔薇にはそんな不思議な力があるのです。」

女性が本能的に好む
3つの香り

心地いいと思える香りは美しさへのアプローチにぜひ取り入れたい。
「ジャスミン、ゼラニウム、ペパーミントなどは女性が本能的に好むと言われる香りの代表です。いずれも生理中やその前後のタイミングにぴったり。ただし、子宮収縮を促すこともあるので、妊娠中の方は使用を避けてくださいね」

嗅覚を研ぎ澄ます鼻ケア

嗅覚が鈍らないようにするためにオススメのケア&トレーニングを教えてもらいました。
「鼻周りが乾燥していると乾燥という不快感に気をとられて香りを感じにくくなってしまうので、スキンケアの際に鼻の周りや鼻の穴のキワまでしっかり保湿するようにしています。あと香りに意識が向かうトレーニングとして是非みなさんにしていただきたいのが、食事の時に口に入れる前に一旦香りを嗅いで欲しいのです。もしくは料理する際食材を切る前に野菜の香りを嗅いでみるなど。視覚や聴覚が優先され嗅覚は後回しになりがちなのですが、是非意識して香りを嗅いでみてください。心地いい香りの発見にもつながるのでオススメです。」

睡眠時の香りはまさに目からウロコ!確かに勿体無い!ので今日から寝る前に寝室でお気に入りのクリームでお手入れしようと思います。

太田奈月さん

アロマセラピストとして活動後、調香師の道へ。「植物の力を借りて自分自身を生きる」ための香水作りの普及を目指し一般社団法人日本アロマパルファンヌ協会を設立。代表理事を務める。