2025.02.20

Beautiful Days Enchanted by Colors

染織家/吉岡更紗さん

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生きる力をくれる圧倒的な存在
色に魅せられる美しき日々

人生には理由がある
vol.33
染織家/吉岡更紗さん

吉岡更紗/染織家

化学染料を使わずに天然の植物染料のみで染めることをこだわりにしている京都の染屋「染司よしおか」の6代目を務める。染織ほか、工房と店舗の経営、店頭での接客、講演など幅広く活動中。

生きる力をくれる圧倒的な存在
色に魅せられる美しき日々

江戸時代後期から200年以上続く染織工房「染司よしおか」の6代目を務める染織家の吉岡更紗さん。
家業の染色を生業とし、日々「色」と向き合う吉岡さんの染織家としてのこだわりや、
「色」が秘める魅力について伺いました。

YouTube

公式YouTubeチャンネルでは、インタビュー動画をご覧いただけます。

染色と出会ったのは幼少期
工房は大好きな場所だった

染織家として活動を始めて16年になる吉岡さん。今では「染司よしおか」の6代目として染色のほか、経営面にも携わっています。京都・伏見に今も変わらずある工房は、幼い頃から大好きで思い出の場所なのだとか。
「私が幼い頃はまだ父も美術関連の出版業で働いていたので、工房は4代目の祖父が切り盛りしていました。私は毎週土曜日に絵画教室に通っていて、その帰りに工房に遊びに行くというのがルーティンでした。祖父は厳しく、なかなか工房に立ち入らせてもらえなかったのですが、私は工房の雰囲気が大好きで。植物を煮出して染料を作るときにぱーっと上がる湯気の感じとか、染料の匂いとか。職人さんたちが染め出している様子を窓から眺めたりするのが好きでした。ただ、自分が大人になって工房で染色することになるとは、このときは思っていなかったですが、祖父が引退し、父が5代目を継いだ10歳ぐらいのとき、感覚的に自分の人生に家業の存在を感じるようになりました。その後、家業のことは何となく頭の片隅に置きながら過ごしていましたが、はっきりと染色の道が自分の中で見えて気持ちも家業に向いていったのは高校生のときでした。染色のことは何も分からないけれど、祖父と父の姿を見ていたのと、幼い頃大好きだった工房の存在が自然と導いてくれたのかもしれません」。

様々な価値観に触れられた接客業の日々は財産に

大学時代は歴史学科に在籍していた吉岡さん。工房に入るタイミングを思案していたところ、5代目であるお父様から助言があったとか。
「父自身が、他の仕事をしてから工房を継いだこともあって、いろんな人と会っていろんな仕事を見たり触れたりした方がいいと助言をくれたんです。外の世界は絶対見ておいた方がいいと。そうかもしれないなと納得し、大学卒業後に好きだったファッションに携われる販売の仕事に就きました。6年間働きましたが今でも販売の仕事を経験して良かったなとつくづく思っています。いわゆる社会勉強をさせてもらえたのはもちろん、接客を通していろんな方の価値観に触れられたことは自分の財産になっていると感じています。というのも、染色の仕事ってアパレルの仕事と似ていて、商品を作って世に出して販売していくという流れがあるのですが、いくらいい物を作っても販売がうまくいかないと物は売れないんですよね。さまざまな人の価値観を介してお客様の元に商品が届くということを目の当たりにして体感できたのはとても大きな経験でした」。

販売の仕事を通じて、視野が広がった吉岡さん。28歳になり、いよいよ染織家として工房に入ろうと意気込んでいたところ、再びお父様から助言がありました。 「外の世界を見ていろいろな価値観には触れたけど、染色については勉強したことがなかったんです。何も学ばずにいきなり染色の現場に入るのはいかがなものか、ということで愛媛県西予市にある野村シルク博物館で染織を学ぶために2年間短期移住をしました。染色についてはいろんなところで学べますが、ここでは素材について知識を深め、繭から糸を作るところから学べるのが他とは大きく異なる点。それにより、染織の全体工程を理解し経験できたのがとても貴重でした。染織業界は細かく仕事が分かれていて、今はそれぞれのなり手が減っているという問題もあるので、6代目として工房全体を切り盛りする今、愛媛県での学びが“何かあってもなんとかなる”という自信につながっているように思います。そして改めていろんな人の手を介して物はできている=その中で自分の仕事である染めることができているというのを強く感じられたのも、“外の世界を見て触れる”ことができたからだと思っています。父からの愛ある助言、そして宝物のような8年間に感謝しています」。

30歳で工房に入り16年。自然の色や奥深さに魅了される日々

修行ともいえる8年間を過ごし、満を持して家業の染司よしおかの工房に戻ってきた吉岡さん。
「2008年に工房に入り、来る日も来る日も染色に従事。父が亡くなった2019年からは6代目として工房全体を見るようになりました。不思議なことに、辞めたいなとか休みたいなとか思ったことが一度もないんです。飽きを感じないんです、全く。それは工房での仕事を通して四季の移り変わりやそれに伴う自然の色に日々魅了されているからかもしれません。販売員時代は、1日中建物の中にいて天気も気温も分からないような日々でしたから。季節の移り変わりを肌で感じられて、自然のサイクルと一緒に仕事ができるというのは、人間本来のあり方に近づけているのかもしれません。また、うちは化学染料を使わず、天然の植物から染料を煮出しているのですが、染料の元となる植物の生産者さんの元へ収穫のお手伝いに行くのも大切な仕事の一つなんです。それに取材を受けて色の魅力をお伝えしたり、プロジェクトの打ち合わせを外部の方とするのも仕事。このように仕事の幅が多岐に渡り、たくさんの人と出会えるのも性に合っていて飽きない理由なのかもしれません」。

染織家の名に恥じない仕事をしていきたい

色に魅了され、染織家として活動を続ける吉岡さんにとって色の意味について問いました。
「色って今では当たり前にあるものですが、その昔、人間があるタイミングで服を着るようになって、色はなくてもいいのに、服を染めようと思ったわけですよね。そして色で何かを表そうとした。その事実と感覚って震えるほどすごいことだと思うんです。その感情を紐解くと、私は色によって四季の移ろいを感じられて、生きていることを実感させてもらえているんだなとつくづく感じます。そして縁あって色を染めるということを生業にしています。染織家としてはまだまだ道半ば。自由で奇想天外、色の研究や見聞を深めるために世界中を巡ってひたすらに美しい色を出すためにその身を捧げてきた祖父と父には到底及びませんが、追いつけるように日々色と向き合い、学びを深めていきたいです。シンプルに美しい色を染め出す。染織家の名に恥じない仕事をしていきたいです。これからもずっと」。

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メイクは日々のスイッチ役。
メイクが引き立つよう日々のケアを丁寧に

「染色は屋外で行うことも多く、夏は暑くて冬は寒いという、肌にとって結構過酷な環境です。乾燥が気になっているので、日々保湿に重点を置いたスキンケアをしています。特に3月ぐらいの時季は、いつも以上に落とすケアに力を入れています。セルグレース Wクレンジングクリーム(A)はメイクとの馴染みが良くて、軽い力でスルッと落ちるのが◎。また、今回ふきとり化粧水を初めて使ったのですが、セルグレース コンク(B)はふきとりだけど、肌あたりがやさしく次に使う化粧品がすーっとなじみやすいのかなと感じました。夏場は特にTゾーンだけ皮脂が気になりますが、そういう時も気持ちよくケアできそう。そしてセルグレース デュプレクリーム(C)はすごく新鮮!2つのクリームを混ぜて使うのも面白いし、肌につけたときの密着感に驚きました。ピタッと肌に密着する感覚とともに、ピンッと気持ちも上向きになるような使用感でした。気持ちを切り替えるという点で言うと、私にとってはメイクをすることが日々のスイッチの役割に。よし、今日も頑張るぞとONモードになるので日々のメイクは大切な習慣です。」

「グロリアート ザ パウダーアイズ(D)はなじみがよくて自然に陰影がつき立体感が出るのが気に入りました。年齢を重ねると影がつきすぎると落ち窪んで見えてしまうのですが、これはツヤも出せて品よくまとまるのも良かったです。そして40代に入ってリップメイクの大切さに開眼したのですが、絶対自分に似合う色だろうなと手に取ったのがグロリアートザ ルージュ 572(E)。発色もさることながら、ひと塗りでふっくら豊かな口元に魅せてくれるのに感激。表情をパッと明るく、それでいて全体を引き締めてくれるので欠かせません。メイクを引き立てるためにも日々のスキンケアは重要だと思っているので、これからも季節と肌状態に合わせたお手入れとメイクを楽しみたいです。」

※ザ ルージュ・ルージュケースは販売延期

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What's next?

2025/02/26
次回は「不安定な季節の変わり目、どう過ごす?肌も心もゆらがない宣言!」をお届け。
季節の変わり目は肌も心も不安定になりがち。
そうならないためにできることは?もしなってしまった時の対処法は?
ナリスの研究員と美肌賢者に取材しました。
お楽しみに!

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吉岡更紗さんが6代目を務める「染司よしおか」のペンケースが今月のプレゼント。天然の麻布を植物染めした逸品で、目にも鮮やかな10色をセレクトしました。使えば使うほどに風合いが増すので、経年変化も楽しめます。
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※4月上旬に発送いたします。
※10色の中からいずれかの1点のお届けです。