人生には理由がある
vol.09 陶芸家 / 見野大介さん
見野大介 / 陶芸家
「誰か」のくらしを想うこと
陶芸家 / 見野大介さん
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陶芸との出会いは大学時代
子供の頃からレゴ®️やプラモデルが大好きで、得意科目は図工だったという見野大介さん。
「父親は広告クリエイターで、祖父は趣味の油絵で個展を開くほどでした。食卓にはいつもこだわりの器が並んでいましたし、今思えば日常的に“よいモノ”に触れて育ったのだと思います。そこで無意識にモノづくりの核のようなものが養われたのかもしれません」
モノを作ることが好きだった見野大介さんは高校を卒業後、大学の建築学科に進学。建築を学び、図面や模型などをつくることは楽しかったものの、いまいちモノづくりの実感が味わえずにいました。一方、入学してすぐに入った陶芸サークルの活動では、作る楽しさがあり、見野さんは陶芸に夢中になっていきました。
また、作ることに加え魅力的だったのが、周りから意見や評価がもらえること。自分が作ったものに対して、誰かが反応する。それが嬉しくて仕方がなかったそうです。さらに、サークルでは先輩から後輩へと技術や知識を伝達していくため、新たに「教える楽しさ」も知った見野さん。「作ること」と「教えること」。この二つが見野大介さんを陶芸の世界に引き込んでいきました。
すっかり陶芸に魅了された見野大介さんは、大学を卒業後に専門学校の陶芸科に進み、その後、京都・宇治を拠点に活動する陶芸家の岡本彰さんに弟子入りしました。岡本さんの下で6年間陶芸を学び、技術を身につけたものの、“陶芸を仕事にすること”がどういうことなのかが見えずにいました。そんなときに舞い込んだのが就労支援施設での仕事でした。利用者である知的障害者に陶芸を教えながら商品を作るという仕事内容に、陶芸サークルで教えることの喜びを体感していた見野大介さんは「面白そう」と快諾。陶芸家として仕事の一歩を踏み出しましたが、簡単ではありませんでした。単に作品を作るだけではなく、商品を企画し、利用者を指導しながら技術も身につけてもらわなければなりません。利用者一人ひとり得意なことも、できることも、やりたいことも違います。全員が楽しく仕事に向き合いながらも、成長できる体制づくりと、市場で求められる商品企画。これまで培ってきた作陶(さくとう)の技術以外のことも広く求められる仕事でしたが、そのことでたくさんの気づきがあったといいます。
「自己表現と商業的な視点でのモノづくりはまったく違うということでした。いいモノを作っても売れなければ意味がない。施設での経験が大きなターニングポイントとなりました。ただ自分が作りたいモノを作るのではなく、商品として売れる、さらに利用者さんの技術で作れるモノを考えるのは大変でしたがやりがいがありましたし、やはり僕は陶芸が好きなんだと改めて実感しました」
見野大介さんは就業支援施設での経験を糧に独立。「陶芸工房 八鳥(はちどり)」を立ち上げ、作陶する傍ら陶芸教室も始めました。
原点に帰ることで見つけた 「自分らしさ」
独立後は展示会の開催や陶器市への出展など精力的に活動した見野大介さん。その度に周りからは「見野くんらしい作品だね」といわれるものの、それまで弟子としてや就労支援施設で要望に応えるモノづくりを中心に手がけていたことから、当時は自分の「らしさ」がなんなのか分かっていなかったといいます。「分からないなら、とにかく作りながら考えよう」と見野大介さんは、ひたすら器を作り続けました。次々と作品を発表し、たくさんの意見を聞くうちに、「使いやすい」と言ってもらえるモノ。それがまさに自分が作りたいモノなんだということに気がつきます。
自分の不甲斐なさが生んだ“失敗”と、自分の人生をかけて戦う“覚悟”
思えば、陶芸を好きになったのは、大学時代サークルで多くの人に自分の器に対する意見や感想などをもらったことでした。それこそが見野大介さんの原点だったのです。
「僕が作るのは、自己表現色の強いアート作品というよりも、誰かが手に取って使ってくれるような実用的な器です。だから僕は自分のことを陶芸家ではなく、“陶芸を仕事にしている人”だと思っています。仕事って他者の満足なしでは成り立たないですよね。僕も陶芸に関しては自己満足では満足できないんです。でもその反面、自分には個性がなくて、ただひたすらきっちりと丁寧に作ることしかできないという悩みもあったのですが、それこそが自分の個性だと思うようになりました」
生み出すのは機能的で美しい器
見野大介さんが作る器を触るとすぐにその「丁寧」という言葉の意味が分かります。カップや器は口当たりや手触りがとてもよく、洗う時もスポンジがひっかかりにくいようにと、時間をかけてしっかりと研磨されています。また、高さのある器は倒れにくいよう底の部分が少し重くなっていたり、重ねやすさや収納のしやすさまでも考えられていたりと、見野大介さんのモノづくりには常に他者の存在があります。だからこそ、私たちは見野大介さんの器を手にした時、「このお皿にはあんな料理を乗せてみたい。この鉢はこんなふうに使いたい」といった、くらしの風景が自然に心に浮かぶのかもしれません。生活に息づく機能美が八鳥の器の大きな魅力になっています。
「自分よりも技術が高い人はたくさんいますから、使いやすさや取り入れやすさといった使う人の視点で考える観察力でカバーしているのかもしれません」
そんな見野大介さんに器の選び方や楽しみ方を伺ってみました。
「楽しみ方は人それぞれだと思いますが、釉薬(ゆうやく)の面白さを知ってもらいたいです。陶芸では“景色”というのですが、表面の色合いや模様ですね。僕は形や大きさはできる限り同じように作りますが、きれいに作りすぎずにあえて指筋を残します。そうすることで表面に凹凸が生まれて、釉薬がたまったり薄まったりして、作品一つひとつに表情が生まれるんです。今は器もネットで購入できますが、やはり重さや手触り、色などは実際に見て触らないと分からないので、ぜひギャラリーや陶器市に足を運んで手に取ってみてほしいです。」
大変なこともあるけれど、 好きだから続けられる
陶芸家として着実にキャリアを築きながらも、「まだまだ、やっと少し自分のしたいことを形にできるようになったばかり。もっと技術を磨いてうまくなりたいです」と話す見野大介さん。
一歩進むごとに新たな課題を見つけ、そこにたどり着くためにさらに努力を重ねる。決して立ち止まることなく、貪欲に技術を追求する姿はまるでアスリートのようです。
しかし好きなことを仕事にする苦しみはないのでしょうか。
「しんどい事の方が多いけど、それがないと好きな事も続けられません。好きだからこそ続けていけるんだと思います。作家の作品は変化していくので、そういったことも楽しんでいただけると嬉しいです」
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見野大介さんのお気に入りアイテム
「乾燥肌なので、普段は洗顔すらしないのですが、今回使わせていただいたディープウォッシュはさっぱりとした洗い心地なのにつっぱる感じがなく、とても気持ちよく使えました。洗顔料を使うことに慣れていない僕が使っても簡単に泡立つのもうれしいです。洗顔の後は、クリアコンクとインフューズミルクを使ったのですが、クリアコンクはテクスチャがとてもなめらかで拭き取る際に肌への負担を感じませんでした。ミルクは肌なじみがよくすっと肌に入っていく感じが心地よかったです。」
「あとは、リフレッシュシャンプーとボディソープもお気に入りです。すっきりとした洗い上がりがとても気持ちよくて。そろそろベタつきや匂いなどが気になる年代に差し掛かってきたので、継続して使いたいと思いました。面倒くさがりなのでシャンプー後にトリートメントなしでも軋まないというのも嬉しいです。
あと、どの商品も無香料なので、使っていて香りが気にならないのもいいですね。普段あまりスキンケアを丁寧にしたり、シャンプーやボディーソープにこだわりがある方ではなかったのですが、自分自身をケアすることで気持ちよく過ごせるので、ずっと使っていきたいです」