石岡真実さんが語る
除いたことで、生まれる余白
vol.08 前編
石岡真実 / フリーランスディレクター
無駄な動きを省き、時間にゆとりを持つ
フリーランスディレクター 石岡真実さん
必要なものだけを手の届くところに置く
石岡真実さんが約1年前に始めたこと。そのひとつは「毎朝使う食器を選んで、手の届くところに置くこと」でした。ご自宅の食器棚にはステキなお気に入りの食器がたくさん収納されていますが、それらの多くは来客用。毎日使う食器は定番を決めて、食器棚にはしまわずにキッチン内の手が届きやすい場所に置いています。
「基本の食器は家族3人で6つだけ。毎日3人で食卓を囲んで食べる朝ごはんを基軸として、よく使うものを選びました。もともとこれよりも数が多かったのですが、結局よく使っているのは、この6つだけだと気づいて減らしました。ここに必要に応じておかず用の食器を足すというルーティンになっています。
共働きで忙しい毎日を送る石岡真実さん。今年6歳になった息子さんも育ち盛りで、自分の仕事と育児を両立させるにあたり、常に「時短」という言葉が頭を駆け巡っていました。どうにかして効率良くできないか。そう考える中で、毎朝必ず行っている食器を「出す、しまう」という動作を省くことから始めてみたそうです。
「小さな工夫かもしれませんが、毎日行うことなので楽になったという実感を得ることができました。ご飯を作るスピードが早くなりましたし、その分時間にも余裕が生まれました。それが心の余裕にも繋がっていると思います」
忙しい毎日も、ゆとりを持って過ごすために
「まつげパーマをすることで、ビューラーをする手間を省いてますし、ヘアスタイルもパーマヘアが基本。髪の毛をブローしたり、セットする手間を減らしています。ファッションはクローゼットの中をニット、長袖トップス、半袖トップス、パンツ…という風にジャンル分けすることで、取り出しやすいようにしています」
さらに、ファッションに関しては「クローゼットに空間の余裕をもたせる」というルールがあるのだそう。
「一定数以上の服を買わないようにしています。新しいものを購入したい場合は、フリーマーケットをしたり、人に譲ったりしてアイテムを手放すなどしています」
そもそも、昔に比べてあまり服を買わなくなったという石岡真実さん。それは自分に似合う服がわかってきたからだといいます。
「昔は多種多様なシルエット、柄、色の服を持っていました。だけど、結局は好きじゃないものは着ないんですよね。自分が好きだったり、自分に似合うシルエットや色が絞られてきたので、それ以外の服は買わなくなりました。おしゃれはその中で楽しむようにしています」
例えば、今日着ているワンピースは石岡真実さんの好きなシルエットのひとつ。
「首つまりで少し余裕のあるシルエットが好きで着ることが多いんですよね。似たようなシルエットで素材違いのものを買ったり。そんな感じで服を選ぶようになりました」
自分似合う服がわかっていれば、毎朝クローゼットの前で頭を悩ませる時間も少なくなる模様。聞けば、石岡真実さんの朝起きてから、ご家族のご飯を作って食べて、メークなどの身支度を完了させるまでの時間は約1時間。日々のちょっとのことを省く工夫で時間的な余裕がうまれるだけでなく、空間的な余裕も。お部屋全体もスッキリして掃除などもとても楽になったそうです。
自分の「型」を見つけることで生まれる余裕
石岡真実さんの日々のちょっとした工夫。それらのお話から見えてきたのは「自分の型を見つけること」で、余白を上手に作っている姿です。
「毎日の定番の食器を見つける、自分に本当に似合う服を知る。そうやって自分のライフスタイルに”似合うもの“を探し当てることで、自分の基本型が見えてきます。そうすると足し引きが楽になりますよね。これを足せばより良くなるとか、これは引いてもOKとか。その計算が早くなることで、余白が生まれやすいとも言えるのかもしれませんね」
「忙しいときはトーストをお皿ではなく、キッチンペーパーの上に載せちゃうときもありますよ」と笑う石岡真実さん。その飾らず自然体でいられる秘訣は、『自分には最低限これが必要』がわかっているからこその潔さなのかもしれません。