2022.09.06

Choose the best style of work

歯科医・モデル・クリエイティブディレクター / 加藤順子さん

People

私の働き方が、
誰かの選択肢のひとつになれば

加藤順子さんが語る
除いたことで、生まれる余白
vol.07 前編

加藤順子 / 歯科医・モデル・クリエイティブディレクター

愛知県名古屋市出身。2015年よりモデルとしての活動を本格的にスタート。歯科医師としての本職を持ちながらも、独自の感性やセンスが同世代の女性から人気。アパレルブランドとコラボレーションしたアイテムは瞬く間に完売してしまうという。クリエイティブディレクターとして様々なブランドとコラボレーションを行う。自身のクリエイティブ活動をより発展させるため2020年秋には独立をし、自身の会社の代表取締役も務める。インテリアにも詳しく、家の中の様子を切り取って投稿する美しい写真の数々もフォロワーに人気。その中に佇む加藤順子さんのしなやかな姿に、思わずうっとりする。
加藤順子さんのInstagramはこちら

私の働き方が、
誰かの選択肢のひとつになれば
歯科医・モデル・クリエイティブディレクター / 加藤順子さん

余分なものを取り除き、新たに何かを吸収する小さなアクションが、
よりよい未来を引き寄せてくれるかもしれません。

「除いて、与える」をテーマに、
しなやかなに生きる方たちをクローズアップするこの連載企画。

今回は、歯科医にモデル、クリエイティブディレクターの3軸で活動し、
才色兼備を体現する加藤順子さんが登場。

自分らしい働き方を見つけた加藤順子さんが歩む道は、
どこまでも希望にあふれたものでした。

やりたいことは、ひとつに絞らなくていい

歯科医師とモデルという、まったく異質のフィールドを併せ持ち、
さらにはクリエイティブディレクターとしても唯一無二のプロダクトを生み出す加藤順子さん。
まずは、マルチに活動することになったきっかけからお話を伺いました。

「モデル活動をスタートさせたのは地元で学生をしていたときです。知り合いのフォトグラファーから、知人が東京でモデル事務所を開くので、やってみないかと声をかけていただいたのが始まり。その後国家試験に合格して研修医になって上京し、忙しさからモデル活動をセーブしていた時期もありましたが、自分にとってベストな働き方を考えて、歯科医とモデルの仕事を両立してやっていくことに決めたんです」

暮らし周りのアイテムやコスメ、ファッションアイテムなど、自信を持って“よい”と確信したものを人に勧めるのが好きであり、得意でもあったという加藤順子さん。

「もともと、“こんなものがあったらいいのに”だとか、“こうすればもっとステキになる”などと考えることが好きだったのですが、モデルの仕事をしていると、それをより強く思う場面に出くわすように。頭の中にあるものを形にしてみたくなって、マネージャーにも相談して、あるランジェリーブランドにプレゼンに行くことになったのですが、熱意を伝えると、ありがたいことに共同プロデュースさせていただくことになったんです。これを機会にクリエイティブディレクターとしても活動していくことになりました」

働く女性たちを勇気づけ、後押ししたい

加藤順子さんがハイブリッドな働き方を選んだのは、歯科業界で働く女性たちの背中を押したいという気持ちもありました。

「歯科医師業界のムードとして、開業して成功したいという人はとても多いけれど、私の場合はちょっと違う気がして。それ以外の働き方で、自分の人生を楽しくできたらいいなと思ったんです。技術職なので、感覚を忘れないように働き続ける必要はありますが、勤務医ならばどれくらいのペースで稼働するかは自分で選べるので、今はモデルやプロダクトの開発など、クリエイティブな活動に力を入れることができています。歯科業界は、まだまだ男性社会だと言われている中で、歯科医師や歯科衛生士など、歯科業界で働く女性たちの地位を確立するために何かできないかなとも思っていて、私を通していろんな働き方があるんだと感じてもらえたら嬉しいし、業界全体の認知度を高めていきたいと思っています。いつか歯科関連の事業もしていけたらいいなと思っているので、歯科業界に還元するためにも、今のものづくりの活動は続けていきたいと思っています」

作業に優先順位をつけて、人の手を借りる

自らがマルチに活躍することで、歯科業界を盛り上げ、そこで働く女性たちの地位向上に貢献したいという目的を掲げる加藤順子さん。しかしながら、一からプロダクトを作り上げる作業は、簡単なことではなかったといいます。

「それまでものづくりを学んできたわけではないので、PCでデザインをするなどというスキルも不足していました。自分の内側で描いている理想を形にするためには、何でも自分でできるようにならなければと焦ってしまって。このままでは、一生作りたいものができないと悩んでいた時、友人が“できないことは、人に頼めばいんだよ”と言ってくれたんです」

自立心を強くするあまり、緊張状態が続いていた中、その言葉で、ふっと楽になれたのだそう。自分でできないことは、それが得意な人に頼めばいい。人を雇用し、連携しながら仕事をするスタイルを加藤順子さんは受け入れたのです。

「できたほうがいいことって無限にあるじゃないですか。英語も中国語もフランス語も話せた方がいいし、イラストレーターだって使えた方がいい。山ほどある “できたほうがいいこと”に優先順位をつけて、どれをお願いするかを決めることも大事だと気が付きました」

支えてくれる人がいることに、深く強く感謝して

自立した強い女性でいなければならないと思い込む気持ちを取り除いてみると、見える景色にも変化が。

「撮影に行っても、関わってくれるスタッフみんなが仕事としてここに集まってくれているんだということを改めて意識するようになりました。それって、当たり前のことじゃないんですよね。ものづくりにおいても、私にできないことをカバーしてくれている人たちが、大変な思いをしながら仕事をしてくれていることがよく分かり、誰かに感謝することが多くなりました。気持ちを表現するのは苦手な方だったけれど、コミュニケーションの中で、できるだけありがとうの気持ちを伝えるようにもなりました。そのくらい、ひとりでやらなくていいという答えは私にとって発見だったんです」と、加藤順子さん。

加藤順子さんがサポートを受け入れることで与えられたものは、心の余裕。そして、人と人との温かなつながり。また、ものづくりに対しての情熱も以前にも増して強いものに。

「ものを作るときは、利益を求めすぎないことがポリシーです。利益を生み出すことが一番の目的になってしまうと、なぜ作りたいかという軸がブレてしまって、いいものってできないと思うから。最初から利益を求めていたら、次に作るものに対しても、期待してもらえなかったと思うんです。関わってくれるひとがいるからこその自分であるということも、いつまでも忘れずにいたいです」

ぜひ公式LINEのお友達登録をして、
新着記事の通知をお受け取りください。

Follow us on :

Staff

Photographer : Mitsugu Uehara
Writer :Ai Watanabe
Editor : Yasuda Amane (Roaster)
Director : Sayaka Maeda (FLAP,inc.)