2022.05.31

Appreciate my surroundings

フローリスト / 綱川禎子さん

People

自信のない私も受け入れて、
周りへの感謝を忘れない

綱川禎子さんが語る
除いたことで、生まれる余白
vol.03 後編

綱川禎子 / フローリスト

セレクトショップ『ロンハーマン』で販売、VMDを経験した後、フローリストに。アパレル出身者ならではの感性を生かした花の質感や意外性のある色の組み合わせのセンスがSNSなどを通じて人気に。知り合いが営むワインバー『TOMIGAYA CALME』の一角を借りて、2017年フラワーショップを『whole』を代々木八幡にオープン。美容師である旦那様のヘアサロン『AWRY BY THE MANNER』を併設し、2019年にリニューアルオープンしました。ウェディングやブランドとのコラボレーションなど、活動の幅を広げている。
綱川禎子さんのInstagramはこちら
wholeのInstagramはこちら

自信のない私も受け入れて、周りへの感謝を忘れない
フローリスト / 綱川禎子さん

前編では、都会で過ごす時間を減らすとともに、
キャンプを通して心身をリセットしている
というエピソードを話してくれた、フローリストの綱川禎子さん。

自然に癒されに行くルーティンは日々を紡ぐのに欠かせないことですが、
日常生活の場はあくまで都会。
後編では、綱川さんが都会暮らしの中で
「止めたこと、はじめたこと」について紐解いていきます。

綱川禎子さんが語る 除いたことで、
生まれる余白 前編はこちらから

徒歩や自転車を使う都会での生活

綱川禎子さんは『whole』をオープンしてからしばらくは、都心から離れた場所に住み、電車通勤を続けていたのだそう。

「当時は電車に乗って仕事に行くということに疑問を持ったこともありませんでした。電車通勤を辞めたのは、仕事の効率化をはかるために都内に引っ越したからです。それにより、時間がゆったりと使えるようになって、電車に乗る回数を減らすメリットに気がつきました。このご時世、満員電車に乗ることにはリスクがありますし、電車移動が当たり前だと思いつつも、長い間、電車通勤に気疲れしていたのだと感じました」

電車に変わって、意識的に増やしたのが徒歩や自転車での移動です。

「友達と待ち合わせするとき、目的地まで徒歩40分くらいの距離だったら歩く、という目安にしています。無理はせず、時間がタイトだったら行きは電車、帰りは歩きという具合で、心身ともに心地よく感じる範囲で行っています。お酒を楽しんだ後に夜風に当たりながら歩くのがお気に入りです」

知らない道を通る楽しみ

徒歩や自転車を都会生活での移動手段にする上で、綱川禎子さんは自分なりにルールを決めたそう。

「電車での移動が当たり前だったときは、都内の道にあまり興味が湧きませんでした。ところが、歩いたり自転車に乗ることが増えると、いろんな道があることに気がつきます。“この道とあの道はつながってるんだ”とか、“ここは一方通行なんだな”とか。そういうことが分かってくると、移動そのものを楽しめるようになりますし、仕事柄、車を使うときにも役立ちます」

ただ目的地に運ばれるだけだった時間が、徒歩や自転車移動を始めたことで、ささやかな発見を見つける小さな旅のような瞬間になりました。

「行き着く場所は同じでも、毎回なるべく違う道を通るようにしています。急いでいるときは最短コースを使ったり、時間があるときは素敵なお店に立ち寄りながら歩ける道を選んだり。それを友達にもシェアして、徒歩や自転車での移動から見えてくる都内の景色を楽しんでいます」

身体を動かす移動手段は心に働きかける

歩くことや自転車移動は、ポジティブな心を育むのにも効果的なこと。

「特に寒い時期、歩いていると、身体だけでなく、心も温まっていくのを感じます。歩くことで全身の血の巡りが良くなると、心にも作用するんですよね。体調や精神面にも、よい影響を及ぼしていると思います。暑い時期は、夜の散歩が最高。涼しい風が吹いてきたりすると、心がほどけるような開放感があります。それに、自然と姿勢を正して歩こうという意識も芽生えました」と、綱川禎子さん。

胸を張って歩く姿は、傍らから見ても美しいもの。うつむきがちにならずに、目の前に広がる街並みに好奇心を持ちながら歩けば、身体も心も喜ぶ時間になります。

今の自分を受け入れることで前を向く

『やめることと、はじめること』を見定めることで、満ち足りた毎日を過ごす綱川さん。インタビューを総括して、ナリス化粧品の『除いて、与える』という美容理論と綱川禎子さんの生き方に重なる部分があるか尋ねてみました。

「そもそも私は自分に自信がないタイプで、自分のお店を持つことになるなんて、想像もできませんでした。今もこうして『whole』を続けていられるのは、自信のない自分に引け目を感じる気持ちを取り除いて、そのままの自分を受け入れることができたからだと思います。自信がないことだって個性のひとつ。“これでいいのかな?”と慎重になるのはプラスに働くことも多いものです」

自分を受け入れる器ができたところで、原動力となるやる気を与えてくれるのは周囲の人々や花の存在です。

「苦楽をともにしてくれる夫やスタッフがいるから、どんなことも乗り越えていけるし、お客様にコーディネートした花を“素敵ですね”と褒めていただけたときは、相変わらず自信がない私でも、自分の感覚を信じ、小さな誇りを積み重ねることができています。そして、市場でかわいい花を仕入れた時に毎回感じる幸せな気持ち。人との関わり合いや花との触れ合いが、私の心に豊かさを与え続けてくれています」

『除いて、与える』ことにより、自分らしく、人や花と向き合う綱川禎子さん。
フローリストとして第一線で輝く理由がここにありました。

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Staff

Photographer : Kazumasa Harada
Writer : Ai Watanabe
Editor : Haruyo Sugie (Roaster)
Director : Sayaka Maeda (FLAP,inc.)